穢れた夜の後で(オリジナルBL小説)

Posted by – 2010/06/06

この作品にはBL(ボーイズラブ)の要素が含まれます。
事後ネタ・売春ものです。
18歳未満には不適切とされる内容が含まれるおそれがあります。
その旨をご理解の上、自己責任でお読みください。


身体がだるい……

腰が重い……

そんなことを感じながらベッドから起き上がると、隣には醜い顔で惰眠を貪っている男がいた。

昨晩、僕のことを抱いた男。

週に1度、僕が薄っぺらな紙幣1枚と引き替えに春をひさぐ相手だ。

そんな、金で繋がれた打算だけの関係。

「歪んでるなぁ…」

そんなことを独りごちる。

安物のダブルベッドから抜け出して、浴室へと向かう。

大きめのバスタブに湯を溜めて、部屋に戻る。

テレビをつけると朝の情報番組をやっていた。

時刻は6時をわずかに回ったところ。

備え付けの冷蔵庫から缶チューハイを取り出して飲む。

これまでの出来事に思いを馳せながら、テレビを見るともなくぼんやりしていた。

思えば最初にこの男に抱かれたのはいつだっただろうか。

確か、2ヶ月ほど前の暑い日だったと思う。

少し金欠だった僕は、ネットの掲示板に軽い気持ちで書き込みをした。

驚くほど簡単に数人の男から申し込みがあった。

何人かの男に抱かれたけれど、最終的に関係が落ち着いたのは最初に抱かれたこの男だった。

僕としては、単なる金蔓でしかないのだけれど、向こうの方はそうは思っていないようだ。

好意、というかある種の恋愛感情を抱いているらしい。

……。冗談じゃない。

俺は仮にもそこそこの大学に通う大学生で、夢なんていう大層なものはないけど、日々を楽
しく過ごしている。

向こうはなんだ。しがない企業に勤める40代の会社員で、しわやニキビ跡も目立つ脂ぎった醜男ぶすじゃないか。

思い上がるのも甚だしい。

もっとも、僕がそれとなく気のあるそぶりを見せつけてるせいなのかもしれない。

意図的に勘違いをさせているのだから、文句を言えた筋合いじゃないか。

湯が浴槽に溜まったらしいので浸かることにする。

やはり、お湯に浸かると気分が楽になる。

身体中に染みついた奴の匂いだとか、溜まっていった穢れだとかそういうものが少しは落ちたような。

あの男がまさぐり、舐め、穢れた液体を塗りたくったこの身体が、多少は綺麗になるような気分になれる。

「まったく、こんなところに跡を残しやがって…」

脇腹や胸元に内出血の跡がある。俗に言うキスマークという奴だ。

気にくわない。まったくもって気にくわない。

浴槽から一度出て、備え付けのリンスインシャンプーで髪を洗う。

手にボディーソープを取り大雑把に身体に塗りたくる。そしてシャワーで流す。

もう一度浴槽に浸かって10分くらいぼんやりとすることにした。

昨夜は何回抱かれただろうか。

あまり覚えていないが、腰のだるさから考えると3,4回といったところか。

年のくせに絶倫なんだから。あの男は。

嫌悪感しか感じないこの男との関係を続けているのには、一つは割のいいバイトだというのもある。

が、一人の夜に耐えきれないから、というのが大きいのかもしれない。

寂しい夜に抱いてくれる相手がいれば、正直誰でも構わないのだろう。

”バイト”のない夜はセフレのうちに泊まるわけで。

きたないのは俺なのかもしれないな……」

浴槽の栓を抜いて浴室を出て、タオルで適当に身体を拭いて下着を身につける。

安物のバスソルトの香りが身体からしている。

ま、いいか。グレープフルーツの香り。嫌いじゃない。

あいつは既に起きていたらしい。

ベッドに座りあいつに寄り添う。

「おはよ。あんまり激しくするから腰が痛いじゃないか」

上目遣いで口を尖らせて言う。

なんだかんだで、俺はこの関係がそんなに嫌いじゃないのかもしれないな。

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